一般質問・児童虐待

  • 隅田(すだ)盛和
  • at 2006/12/08 08:00:53

◎児童虐待について

(すだ議員)
 まず最初に、児童虐待について尋ねるが、この問題は、行政の一部局で対応できる問題ではない。大きな視点をもって市長、教育委員長の考えなり、それぞれの部局の対応なりを聞きたい。
 子供への虐待が深刻化している。一昨年の栃木県小山市で起きた実父の知人による幼い兄弟の殺害事件では、児童虐待事件として初めて、1審ではあるが、死刑の判決が出ている。
 児童相談所に寄せられる相談の件数は、10年前に比べて20倍に増えており、このままでは10年後、20年後には、今と比べても何十倍も増えるかもしれない。児童福祉士の絶対数が足りない状況は、問題の解決を遅らせる原因の一つになっており、社会の声として児童福祉士の増員を声高に訴えていかなくてはならないと思う。
 言うまでもなく、子供は社会の宝である。すべての子供が十分な愛情を受けて健やかに成人を迎え、健全な社会の戦力とならなければ、今の繁栄した日本社会は崩壊する。
 年金世代とて、現実の自らの生存にかかわる問題として真剣に考えてもらわなくてはならない。社会制度が崩壊したら、年金が少なくなったらかなんとか、医療費が上がったらいややとか、そんな不満を出せる状況ではなくなるのである。年金はゼロ、医療を受けることさえできなくなることもあり得るわけである。
 昨年、2005年より日本の人口は減少に転じており、女性が一生のうちに生む子供の数、合計特殊出生率の低下に歯どめがかからない状況がある。
 少子化に対して、国をあげてさまざまな施策が打たれようとしているが、決定打はなく、仮に回復に向かったとしても、人口維持に必要な出生率2.08は到底望めない。まず、このことを前提として、社会の宝である子供をどう大切に育てていくかを考えなくてはならないわけである。
 これだけ子供の数が減っているのに、なぜ愛情を受けないで育ってしまう子供がこんなにも出てきているのだろうか。原因はもちろん一つではない。いろいろな事情、要因が複雑に絡み合って、社会の歪みが子供に向かっている。私たちは、この時代を生きる者として、受け継いできた人類の歴史、文化をきちんと次世代に受け継ぐためにも、絡み合った糸を、根気よく一つ一つほぐしていく努力が求められるのである。
 大切な子供を、大事に育てていくためには、国家レベルで児童虐待問題に取り組んでいかなければならないわけだが、最も身近な住民と直接接する基礎的自治体である市の対応に、大きな比重がかかっていることは間違いない。
 虐待の類型は、身体的虐待、ネグレクト、つまり養育放棄、心理的虐待、性的虐待に分類されるが、本市における児童虐待の現状はどうなっているか。

(栗山市長)
 福祉事務所内における家庭児童相談室の児童相談業務の中で、児童虐待として把握している件数については、平成16年度は、延べ相談件数657件のうち39件である。この件数は、平成16年12月に、いわゆるDV法の一部改正により、DV家庭に属する件数も含まれている。実件数は、身体的なものが4件、養育放棄などのネグレクトが5件、DV関係が6件である。

(すだ議員)
 市長の虐待を受けた児童が成人になった後、社会全体に及ぼす影響を中心に児童虐待に対する基本的な考えを聞かせて欲しい。

(栗山市長)
 児童虐待防止法では、虐待は児童の人権を著しく侵害すると規定されており、人権問題として児童虐待を重く受けとめている。
 児童虐待は、早期発見・早期対応ということが必要であるということはもちろんだが、それぞれ関係機関の迅速な初動体制と、その緊密な連携が重要であり、未然に防ぐという観点からも、育児不安への対応も含めた子育て支援も必要であるのではないかと思っている。
 幼少期などに虐待を受けた人は、身体的、精神的にもさまざまな影響を受け、社会的自立が困難な場合が多く指摘をされている。また、人格形成や社会性にも大きく影響をして、虐待の連鎖として、自分が親になって繰り返したり、また対人関係の遮断や、社会的な引きこもりということが将来的に大きな影響を及ぼすということも考えられ、早期発見による迅速な対応が必要であると思っている。

(すだ議員)
 大阪教育大学付属池田小学校の事件で死刑になった犯人が、父親から虐待を受けていた事実はよく知られているところである。児童虐待は親子で受け継がれるという特徴を持っており、この負の連鎖をどこかで断ち切らないと、安心、安全の社会に対して脅威がますます大きくなっていく。
 児童虐待には早期発見が大切。子供は学童期に入ると学校でいる時間が多くを占めるわけである。教師あるいは学校関係者による発見と対応が非常に重要になる。児童虐待に対しては、大きな視点をもって事に当たる姿勢が欠かせないが、同時に一つ一つの対応も、一貫した考えのもと導き出されるものでなくてはならない。教育委員長の児童虐待に対する基本的考え方はどうか。

(出口教育委員長)
 親子の間に子育て上の悩み、子供の行動が気にいらないとか、発達が遅れているのではないかとか、あるいは生活上のさまざまなストレス等いろんな問題から発生するものだろうが深刻な事態であると受けとめている。
 栗山市長が本3月議会の施政方針の中で、「個人の個性や自由を重んじるあまり、『自己中』と呼ばれる利己主義が頭をもたげ、人と人との温かな絆や信頼、優しく相手を思いやる心を前提として築かれてきた家庭や地域社会をどこかに置き忘れてきたのでは」と述べており、ここに根本の原因があるのではないかと考えている。
 実態はしかと受けとめて、できるだけ未然に防げるように努力を重ねていきたい。

(すだ議員)
 2004年10月の児童虐待防止法改正では、市町村の役割重視が打ち出されている。その要点はなにか。

(栗山市長)
 平成16年10月の改正によりまして、児童虐待の定義として、ネグレクト及びDVによる児童への被害も児童虐待として位置づけられ、児童虐待を受けたと思われる場合も新たに含まれた。
 また、児童虐待の予防、発見から自立まで各段階において、国、地方公共団体の責務が明文化されたとともに、児童虐待発見時の通告先に、児童相談所に加えて市町村も追加がされたところである。

(すだ議員)
 子供の多くは、虐待を受けても誰かに訴えることができない。教師や医師など日常的に子供と接する人や、近隣の人たちによる通告が重要になるわけである。改正児童虐待防止法を受けた市としての具体的取り組みは何か。

(栗山市長)
 事象の発生時及び通告時に備えた、迅速、的確な初動体制の整備を図るために、平成16年度に亀岡市児童虐待防止ネットワーク会議を設置をして関係機関による緊密な連絡体制をとっている。
 家庭児童相談員の研修による資質の向上、重要ケースに備えて児童相談所との連携を強化をするとともに、月1回、児童相談所による定例相談を実施している。
 通常の相談は、福祉事務所のみならず、子育て支援センターにおいても行っており、市が通告先であることも含め、市広報紙などにより、広く市民に啓発をしている。

(すだ議員)
 京都市教育委員会では、一部の小学校で児童に虐待についての授業を行っている。児童に考え、話す機会をつくり、その中から児童虐待が発見されるということもある。また、教師も教えることを通じて、より深く虐待防止について考えることができるということもある。
 少子化によって教師の数は余ってくると思いがちだが、実は全国的に見ると、教師の年齢構成がいびつになっている結果、大量の定年退職を受けて、急速に教師の数が不足するとの調査結果が文部科学省から出ている。ただでさえ教師の指導力の低下が叫ばれているのに、教師への道が広すぎる門になってしまったら、ますます教師の水準が課題となってくる。
 そこで、教師の負担を考えると、専門家を招いて指導を受けることが実際的であり、より効果も期待されると考える。CAPという子供への暴力防止プログラムがある。Child Assault Prevention のそれぞれの単語 の頭文字で、C・A・P、キャップと呼ばれ、このプログラムを通じて、児童への虐待についての授業、あるいは教師への指導を行うことが効率的だろうと思う。
 現在、市内の小・中学校では、一部PTAを通じて実施されているが、単発の事業ではなく、授業の中に取り入れることはどうか。

(滝本教育長)
 CAPプログラム、いわゆる子供への暴力防止プログラムは、子供が危険に遭遇した際に、自分の身を守る危機対応能力を育成する効果的な研修の一つであると考えている。
 本市でも、平成9年ごろから、このCAPの研修を、専門家を招いて、児童生徒、あるいは教職員、PTA等を対象に実施されてきている。最近は不審者の問題が出ているので、安全対策もCAPで取り組んでいる。こちらに重点を移して、CAPの研修をしているというふうな実情もある。各学校で実態に即しながら、効果的な研修が実施されるように努めていきたい。

(すだ議員)
 児童虐待防止ネットワーク会議が設置された目的は何か。

(栗山市長)
 実務者の迅速な連携が図れるネットワーク組織として設置したものである

(すだ議員)
 ネットワーク会議の課題と今後の活動はどのように進めていくのか。

(栗山市長)
 専門的知識を持ち、またネットワーク機能を最大限に生かせる人材の育成確保が必要であると思っている。
 当面は、児童相談所と常に連携を図りながら、主管課を中心に、ネットワーク組織の中における実務者レベルでの迅速、緊密な連携体制を強化する中で、関係機関の役割分担を明確にし、担当者が抱え込むことのないように、情報を共有化しながら対処していきたい。


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