ニュースの感想

ふるさと納税制度

  • 隅田(すだ)盛和
  • at 2007/5/25 19:38:38

 「ふるさと納税」制度は、個人の所得税の一定割合を育ててくれた「ふるさと」に納税しようという制度である。
 税の基本は公平であることはいうまでもない。社会の公共財を誰がどれだけの割合で支えていくのか、単一の方法がないから税制議論が渦巻く。しかし、負担できるものが応分の負担をしないと世の中が成り立たないことは議論がない。

 地方税には行政サービスを受ける住民が、その対価としての税を負担する「受益者負担の原則」から「ふるさと納税」の問題点を指摘する声もある。「ふるさと納税」を選択した住民は、他の住民に比べ、少ない税負担で同じ行政サービスを受けられることになる不公平感を生むという考えに基づく。
 しかし、この考え方には、互いに足らざるを補いながら公共財を支えるという視点が抜けている。公平な負担という原点を考えてみると、徴収する現時点だけを見て制度を作って良いものだろうかという疑問が湧くのである。

 人口が集中し続け、納税者、事業所も都会に偏重するのは経済的に見るとやむを得ない。しかし、食料の供給は言うに及ばず、地方の農山漁村の環境を守る努力があってこそ国土全体が健全に保たれる。
 都会は都会だけで成り立つものではないし、税をたくさん納める人材も都会だけで育成されたものではない。逆に地方だけでも国は成り立たない。都会と地方がお互いに支え合ってこそ国が成り立ち、国民の豊かな暮らしが守られるのである。

 税制を語るとき、絶対公平というのは土台無理な話であり、原則的な視点は「公平感」にならざるを得ない。社会制度が切り替わり、何もないところから出発した当初(明治維新とか太平洋戦争直後とか)は、単純な目に見える事象が分かりやすく、公平感に叶っていただろう。
 現代社会は高度に物事が関連づけられており、情報の伝達速度も速く、その範囲も広い。それに合わせて税制も考えられなくては国民の公平感にずれが生じてしまう。

 現代はITが発達しているので、ルールさえ合理性のあるものを構築しさえすれば、公平感が最も高まるポイントを見つけ出すことは、そんなに難しくはない筈だ。
 公平感は時代や社会情勢によって変化するものだから、今の階段のような税制でなく、曲線をもって動く税制が基本となることが理想型であろう。階段状では、両方の角に近づくほど不公平感が増すとともに、その近辺ではしなくてもいい努力を事実としてした方が得をしたり、さらには悪知恵を絞る輩が出てくることは避けられないからである。

 不公平感が過度になると制度に対する信頼感が薄くなり制度が崩壊する。だから、国は社会の変化に合わせて、税に対する公平感の目盛を最大に合わせる努力を怠ってはならない。納税は義務ではあるが、国民の合意に基づいた制度でなければ機能しない。

 


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