視察・学習報告

岡田喜篤 地方分権と障害者自立支援法(1)

京都学園大学悠心館大教室

岡田喜篤 川崎医療福祉大学学長

(講演メモ)

 支援費制度が始まる前頃から疑問を感じていたが、それでも新しい考え方に期待していた。付随した制度には本当に出来るのか不安を持っていた。知的障害の分野には大きな混乱が起こるに違いないと延期を主張した。
 ノーマリゼーションを目指していた人、糸賀さんの業績思想は、京都滋賀の地による。6つの特殊学級で熱い教育をされていた。京都では熱心に知恵遅れ児童の教育が展開されていた。こういう子供達をお寺が暖かく迎えていた。「あの子らは仏さんや」
 この時、世界ではどうだったか。障碍者は社会に害をもたらすとして隔離と収容が主流だった。1人の精神障碍者が多くの害をまく子孫を残し、人類が滅ぶと言われた。
 バンクミケルセンはナチスの収容所で多くを見た。ケネディ大統領の妹ローズマリーケネディには軽い学習障害があり、二十歳を超えたとき行動障害がでた。医者の勧めにより脳手術を受けさせた。ロボトミーである。その結果脳障害になった。
 優秀児と鈍才児という翻訳本がある。知的障碍者は根絶やししなければならないという思想だった。にもかかわらず、京都では多くの人が知的障碍児を暖かく包み込んでいた。この京都の地からノーマリゼーションをスタートしよう。

 地方分権は近代国家が前提になる。中央集権的であるが、その最高意思は地方の利益を基礎に形成されるべきである。第二次世界大戦前はすべてが中央集権。
 憲法92条には地方自治の本旨、93条には議会も首長も直接選ばれることが書かれている。しかし、地方の財源は3~4割しかない。7割は国からの委任事務であり、これでは地方の自立はない。
 社会福祉基礎構造改革。GHQ3原則は、1.無差別平等、2.国家責任の明確化、3.必要経費非制限。当時としてはすばらしい原則、現在でもすべては否定されない。
 ここから措置制度ができた。措置は措置権者の責任で行われ、命令で運用される。国家が法律を定め、法律に基づいて福祉が実施される。
 しかし、お金がないので行政は福祉要求に対し理解することを表明できない事態になった。予算が付かない限り理解しないとなった。国民から不満がで、不信感が広がった。

 平成9年11月25日。社会福祉事業等のあり方に関する検討会では社会福祉の基礎構造改革について主要な論点を発表した。一人ひとりにあった福祉が要望され、福祉需要が高まる中で財源確保が議論された。
 社会福祉基礎構造改革関連法が可決され、15年4月1日より実施された。自己選択・自己決定、自己実現、自立支援、地域生活・地域移行などが謳われた。
 平成12年には地方分権一括法が施行された。機関委任事務制度の廃止、国と地方公共団体の新しい関係ルール、権限委譲の推進、必置規制の見直しなどで、475本の法律が改正された。
 その後、三位一体の改革、骨太の方針、市町村合併、道州制が議論されている。その中で国民のセーフティネットを地方自治や市場原理に任せることは無理ではないかと思っている。はたして地方分権という言葉だけで、すべて表現できるのだろうか。(つづく)


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