産業常任委員会の県外視察として、1日目の4日(火)は宮崎県の綾町、 2日目の5日(水)は鹿児島県の(株)源麹研究所へ視察調査に赴きました。以下、その概要報告です。
1日目は町独自の環境・農業施策を展開している綾町へ出向きました。この町では、食の安全に対してさほど関心が高くなかった昭和63年、なんと約20年も前に「自然生態系農業の推進に関する条例」を制定し、農薬や化学肥料の使用を制限した安心して食べられる農産物を生産していました。つまり効率的生産を目指した農業とは完全に一線を画し、手間隙かけて農産物を育てる事で「綾ブランド」を確立したのです。農業以外にも、苗木を直接植栽するのではなく、天然下種で自然発生させて照葉樹林を復元する計画など、多面に渡って常に“本物”にこだわって取り組まれているようです。また、“本物”の産業おこしこそが観光産業の振興に繋がるとの理念の下で観光客誘致に取り組み、現在では年間に約100万人を超える観光客が訪れているという事です。(ちなみに、綾町の人口は約7400人です)
役場職員の方々から概要説明を受けている中で強く感じたのは、前町長と現在の町長の圧倒的な存在でした。このお二人の強力なリーダーシップの下に、国や県の多少の批判などに臆する事無く、粘り強く町民に自身の政策を説明し、そのコンセンサスを得ながらまちづくりを進めてきた事を窺い知ることができました。
(食品残渣を利用した養豚場)
2日目は鹿児島空港のすぐそばにある(株)源麹(げんこうじ)研究所を訪れ、食品残渣の飼料化やリキッド・フィード養豚技術について調査を行いました。
元々この会社の前身は、焼酎を製造する過程で欠かす事の出来ない麹(こうじ)を焼酎メーカーに販売している、種麹の製造販売の会社ということでした。その会社が、自社の麹を使った自然発酵技術を活用する事で、食品残渣等を家畜用乾燥飼料に転換する技術を確立したり、生ゴミとその麹を混ぜ合わせて、健康で美味しい豚肉が容易に生産できる独自の養豚技術を生み出すに至ったのも、環境問題を解決しなければならないという、さしせまった難題に直面しその解決を試みようとしたのが、現在に至る “きっかけ” となったそうです。
その難題とは、それまでは俳液(焼酎を製造すると、その製造した焼酎の約2倍の俳液が発生するそうです)を海上処理(単に海に捨てていた)していましたが、いつまでも続けるわけにはいかなくなった事であり、そしてその俳液をリサイクルできないかと考えたのが、“きっかけ”だそうです。
つまり、最大のピンチを最大のチャンスへと転換させたわけで、製造業者にはこのくらいの「たくましさ」が必要なのか・・・と言うか政治に関わる者にこそ必要な事だと思い知らされた1日でした。
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