お知らせ

議員発議の「意見書の提出」

  • 松本 英一
  • at 2013/6/19 18:35:56
 

福島県弁護士会の会長小池達也氏から国に対し東京電力福島第一原子力発電所事故により発生した損害賠償請求権につき3年の消滅時効の適用を排除する立法措置を求める意見書の提出を求める陳情が平成25年5月25日付けで棚倉町議長へ提出されました。  

【陳情の趣旨】

地方自治法第99条に基づき,別紙のとおり,国に対し,東京電力福島第一原子力発電所事故により発生した損害賠償請求権につき3年の消滅時効の適用を排除する立法措置を求める意見書の提出をお願いしたく,陳情致します。

 

議員発儀で上程され全会一致で採択されました。

 

発議第1

国に対し東京電力福島第一原子力発電所事故により発生した損害賠償請求権につき3年の消滅時効の適用を排除する立法措置を求める意見書の提出について

地方自治法(昭和22年法律第67)99条の規定により、国に対し東京電力福島第一原子力発電所事故により発生した損害賠償請求権につき3年の消滅時効の適用を排除する立法措置を求める意見書を別紙のとおり提出するものとする。

 

平成2561'9日提出

 

提出者

棚倉町議会議員 松本英一

 

賛成者

棚倉町議会議員 近藤悦男

棚倉町議会議員 佐川裕一

棚倉町議会議員 須藤俊一

棚倉町議会議員 鈴木政夫

 

 

 

 

 

 

別紙

 

国に対し東京電力福島第一原子力発電所事故により発生した

損害賠償請求権につき3年の消滅時効の適用を排除する立法

措置を求める意見書

 

1

1 東京電力福島第一原子力発電所事故及びその被害の特殊性東京電力福島第一原子力発電所事故は、我が国がこれまで経験したことのない未曾有の大事故であり、広範囲の地域に、長期にわたり、深刻な影響を及ぼし続けている。

旧警戒区域から福島県内の他地域に避難を余儀なくされた避難者は約98,000人県外への避難者は約55,600人ともいわれ、自主的避難者も含めれば、避難を余儀なくされた被害者の数は正確に把握することさえ困難である。

そして、避難者は、生活基盤を根こそぎ奪われ、地域コミュニティから隔絶された中で、経済的にも精神的にも困難な状況に置かれた状況が続いている。

他方、放射性物質に汚染された地域にとどまって生活している人も、放射線被ばくを余儀なくされ、健康への影響に対する不安の中で、目に見えない被害を被り続けている。

このように、東京電力福島第一原子力発電所事故による被害は生活全般にわたる深刻なもので、広範囲かつ長期間にわたり生じている。

2 さらに、その被害は潜在性を有し、被害の範囲もその内容も未だ明らかになっていない。放射線被ばくの健康への影響について専門家の中でも意見が分かれ、特に低線量を長期間にわたって被ばくすることによる健康への影響についての一致した科学的知見が確立されていないことや、放射性物質の除去(除染)技術が確立しておらず、被害地域の復旧について明確な見通しが立たない状態にあることからも、少なくとも現時点において、被害者が自らの被害の全容を客観的に把握し、その被害に見合った賠償を求めることは不可能である。

 

2

1 特別の立法の必要性と許容性1加害者である東京電力株式会社は、福島県からの公開質問状に対し、本年422日付回答書において、「…請求書やダイレクトメール等の送付により時効が中断するという考え方は、弊社が本件事故に伴う原子力損害賠償債務の存在を認識していることが前提となるため、仮払補償金をお支払いした方々…の損害賠償債務のうち、当該請求書等に記載された範囲で適用される」として東京電力福島第一原子力発電所事故に係る損害賠償請求権について、民法724条前殺の消滅時効の規定が適用されることを前提に、ごく限定された対象者に対し、ごく限定された範囲でのみ、適用が排除される旨表明している。

2 これに対し、東日本大震災にかかる原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続きの利用に係る時効の中断の特例に関する法律(以下「特例法」という)によれば、原子力損害賠償紛争解決センターへの和解仲介申し立てに時効中断効を付与し、和解が成立しなかった場合でも打ち切りの通知を受けた日から1カ月以内に裁判所に提訴すれば、和解仲介申し立て時に訴えを提起したものとみなさることになる。

しかるに、上記のように、東京電力福島第一原子力発電所事故による被害は、深刻かつ広範で、未だその全体像も明らかでなく、損害を確定することは現時点では不可能である。深刻な被害を被った被害者は、生活基盤そのものを失い、今後の生活の見通しが立たない人も多くいる。そのような被害者に、全損害について短期間のうちに原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介手続きの申し立て等の権利保全措置を講ずることを求めるのは、不可能を強いるに等しいといわざるを得ない。

現に、原子力損害賠償紛争解決センターによれば、同センターに申し立てた被害者は、上述の深刻かつ広範な被害にもかかわらず、平成24年末時点で13,030名に過ぎず、未だ被害者が申し立てすらできない状況にあることを示している。ましてや、打ち切り通知から1カ月以内に訴状を作成し、証拠を整理して提訴することも極めて困難である。したがって、特例法だけでは、被害者救済に未だ不十分といえる。

3 そもそも、未だ今後の生活の再建の道筋さえ見通せない多くの被害者に対し、東京電力福島第一原子力発電所事故から3年以内に、自ら権利の保全措置を講ずるよう求めることは不可能を強いるものといわざるを得ない。特に高齢者や障がい者は、自ら声を上げること自体が困難であって、これを全て救い上げるにはまだまだ時間が必要である。

現在、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る原子力損害賠償請求権に関連した裁判も係属しているところ、その結果を受けて初めて自ら被害者であることに気付く被害者もいるはずである。東京電力福島第一原子力発電所事故は上記のとおり、広範囲にわたり極めて多数の被害者に対し、長期間にわたり、様々な被害を与える特殊な大事故であって、その被害者の現状を直視すれば被害者側に民法724条前段が適用されない旨の主張立証責任を負わせることなく、これを救済する特別な立法措置を講ずることは当然ともいえる。

福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を可決する際の附帯決議として、政府及び関係者に対し、本年425日の参議院東日本大震災復興特別委員会では「東京電力福島第一原子力発電所事故に係る損害賠償請求権の消滅時効については、本件事故に起因する被害の特性として、継続性が認められるとともに長期間にわたるおそれがあること、被害の範囲及び状況が明らかになっていないこと並びに将来においてもその見通しが定かでないこと等に鑑み、全ての被害者について十分な期間にわたり損害賠償請求権の行使が可能となるように、消滅時効に関して法的措置の検討を含む必要な措置を講ずること」が、特例法案を可決する際の附帯決議として、5A17日の衆議院文部科学委員会では、「東京電力福島第一原子力発電所事故の被害の特性に鑑み、東日本大震災に係る原子力損害の賠償請求権については、全ての被害者が十分な期間にわたり損害賠償請求権の行使が可能となるよう、短期消滅時効及び消滅時効・除斥期間に関して検討を加え、法的措置の検討を含む必要な措置を講ずる」こと(528日の参議院文教科学委員会においても同旨附帯決議)が、それぞれ求められているところ、まさに立法措置が「必要な措置」であるというべきである。

 

 

東京電力福島第一原子力発電所事故に係る損害賠償請求権について、少なくとも民法724条前段の消滅時効を適用しないものとする立法措置を講ずるよう求める。

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

平成25619

 

福島県棚倉町議会

 

内閣総理大臣 安倍晋三様

文部科学大臣 下村博文様

衆議院議長  伊吹文明様  

参議院議長  平田健二様

 

 


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