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菜根譚
人よく菜根を咬(か)みえば、
すなわち百事なすべし
『菜根譚』は、中国民代末期に、儒教、道教、仏教の禅宗の三教を融合し、長い歴史における処世の知恵を集大成したエッセイ集ともいうべきものである。
著者は洪(こう)自誠(じせい)といわれ、日本には江戸中期に伝えられて以来、知識人の隠れた教養書として明治以降も多くの人に愛読されてきた。
この書名は、「菜根」すねわち、野菜の根は筋が多いが、これを咬みうるもののみが物事の真の味を味わうことができるということからきている。
また、「菜根」は、貧しい生活、暮らしを表すことから、貧苦に十分耐えうるもののみが人生百般における事業を達成できるということも意味している。
作者の経歴は明らかになっていないが、一度相当な官位までのぼりつめたものの、その後は、栄光と汚辱を経験し、結局官を退いた人物と推定される。
そんな作者の経験に基づいたと思われる人生の知恵が、簡潔な言葉と、日常生活や自然現象になぞらえたわかりやすい比喩をもって記された内容となっている。
立場や年齢などを超えた普遍的な教えといえるだろう。
中国古典になじみがなくても気軽に読める内容なので、入門の一冊として手に取るにふさわしい書である。
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