今回から空中戦の極意についてご紹介しましょう。
選挙カーによる街宣活動は本当に有権者の心に届いているのでしょうか。
これまでの選挙の常識では、選挙カーから流れてくる声は、本人を除き、その大半はウグイス嬢によるものでした。しかし、こうしたウグイス嬢による街宣活動は、むしろ〝街の騒音〟とさえ思われ始めているようです。
その理由は様々あるでしょうが、ひとつには選挙慣れしたベテランウグイス嬢の名前の連呼、心のこもっていない営業的フレーズに有権者も耳が慣れ、心に響かないため、単なる騒音としか思われなくなってきているのではないでしょうか。
そこで私は、ベテランのウグイス嬢の方に、常々「結婚式の司会者にはなるな」と言っています。それはどんなベテラン司会者よりも、素人で、多少不慣れでも新郎・新婦の友人が司会をした方が参加者に親しみやすいからです。営業的美声で「二階の窓からのご声援ありがとうございます!」といわれても有権者の心には響かないのです。
さて、最近〝選挙の素人がトップ当選〟という例が特に地方議員選挙で多くみられます。なぜでしょうか?
それは、たとえばウグイス一つをとっても新人候補はベテランウグイス嬢の手配ができず、やむなく配偶者や親戚、友人の女性に即席で頼んでようやく手配できた、という方が、かえって心がこもっていて有権者の受けが良かったというケースにも説明がつきます。つまり“素人の”選挙運動員の方が、候補者のことが好きで、候補者の人となりについてよく知り、何とか当選してほしいと心から思っているからです。そうした人を候補者の身近な運動員として固めていることが大事なのです。
また、新しい試みとして最近増えてきているのが、ウグイス嬢ではなく、これまでの選挙の常識を覆した若い男性による「カラスボーイ」を使った街宣活動です。今や街宣活動の時間帯(午前8時~午後8時)の商店街や住宅街での主なターゲットは女性層です。そうした女性層の興味と注意を惹き付けるのはもちろん男性なのです。必ずしも“イケメン”を揃える必要はありません。
どちらを使う場合でも、選挙に従事する側のマナーとして学校や病院、療養施設、葬儀などの前や、早朝の住宅街の中ではスピーカーを切って通過するなど、最低限の社会常識は守るべきです。ボリュームを下げるのではなく、切るのです。「○○さんの選挙カーは病院の前ではスイッチを切って走っていた」と口コミで広がることを期待しましょう。
ぜひ、既成概念にとらわれず、ご自分にふさわしい新しい空中戦の手法を1つ1つ検討してみてください。またいいアイデアがありましたら教えて下さい。
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