人の判断は、「バーバル(言語)コミュニケーション」によってではなく、「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」によって大きく左右されるといわれています。
「メラビアンの法則」をご存知でしょうか。これはアメリカの心理学者アルバート・メラビアン教授が1971年に提唱した法則ですが、この法則によれば人の言動のうち、話の内容などの「言語情報」が7%、口調や話の早さなどの「聴覚情報」が38%、見た目などの「視覚情報」が55%という割合で他人に影響を及ぼすとされています。この比率から「7―38―55のルール」とか、言語情報(Verbal)、聴覚情報(Vocal)、視覚情報(Visual)の頭文字を取って「三Vの法則」ともいわれます。つまり、他人への影響力という点では「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」が93%を占めているということです。
したがって、「ノンバーバル・コミュニケーション」こそ、相手の心を動かしやすいといわれます。言い換えれば、感性を重視したコミュニケーション力が選挙戦には重要ということです。
あなたが毎朝駅頭で演説をしていたとしても、「メラビアンの法則」に従えば、100人中7人くらいしか演説の中味を聴いていないことになります。つまり残りの93人は、あなたの演説を聞いたり、姿を見ていたとしても話の内容は聞いておらず、話し方がソフトだとか明るい声だとかダミ声だとか、あるいは感じがいいとか、偉そうだとか、かわいいといったノンバーバルの印象しか残っていないのです。
ほとんどの人が、候補者の声の調子や外見しか目や頭に残っていないとすると、候補者にとっては(少なくとも選挙運動に限っていえば)政策よりも外見力が大事だといえます。政策を並べるだけでは有権者の判断材料にはならないのですから、演説する場合も「ノンバーバル・コミュニケーション」の部分を重視するように心がけなくてはいけません。プロパガンダも「ノンバーバル・コミュニケーション」の力を無視すると成り立たなくなるのです。
つまり「メラビアンの法則」を無視したような選挙活動はほとんど効果がないと言うべきかもしれません。
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