民主党は英国方式のマニフェストにやたら振り回されて、四苦八苦しています。北川正恭元三重県知事は「マニフェスト型選挙」の定着云々と囃したてていますが、そもそも英国議会と日本の国会とはその性格・様相が全く異なります。
世襲問題一つをとっても、英国の700名以上の上院(貴族院)は1999年までは100%世襲(現在は一代限り貴族が大半となった)で、全員が終身(現在、任期15年を検討中)。しかも聖職貴族が25名もいるといった政教一致の議会です。したがって、何度も繰り返し申し上げているように、せめて下院ぐらいは、仮に「余人を以って替え難い」人材(子息)がいても、同一選挙区からは出さないというような工夫をし続けてきた歴史があるわけです。そんな下院のシステムを日本の衆議院にそのまま当てはめようとすること自体、無理があります。
そして「マニフェスト」。英国では政権をとってからアタフタしないためにも、政党のマニフェストづくりには著名なシンクタンクや議員、スタッフ総出で時間・日数をかけて作業するのです。北川氏が言うような、選挙前に簡単に作成できるものではないのです。知事選を例にとっても大体、何十万、何百万、一千万人もの有権者のいる選挙で、候補者が4年間の数値目標や財源、手法、期限など、選挙前の数ヶ月でどうやったら作れるのでしょうか?
実現不可能なキレイ事を並べたら4年後には落とせば良いという論理は、むしろ無責任極まりない話です。そろそろ英国版マニフェスト型選挙神話も総括する必要があります。
そもそも先の総選挙で、民主党のマニフェストの中の、例えば「八ッ場ダム」の項目を見て民主党に投票したという人が何人いるでしょうか? 与党になる重み、政権を担う重み、そして責任は選挙戦から始まると私は思います。
最近のコメント一覧