民主党の小沢幹事長は21世紀臨調(佐々木毅共同代表)に対し、戸別訪問の解禁や企業団体献金の禁止など、公選法と政治資金規正法改正に関する提言を求めました。小沢氏主導の公選法関連では、先の民主党の英国調査団報告等を概観すると、ネット解禁(ネット献金の促進)や衆院比例枠の削減についても言及しています。
まず「戸別訪問の解禁」ですが、これは法律自体がおかしく(守っている候補者は皆無に等しい)、海外では「ドアtoドア」は当り前のことです。当然私は賛成です。
次に「ネット解禁」。これもどんどん進めてほしいものです。しかも早く実現してほしいと常々申し上げてきました。
そして「比例代表枠の削減」。これは少し問題がありそうです。そもそも論の中に小選挙区で負けた人が比例で復活すること自体(いわゆるゾンビ復活)おかしいという議論があり、これは一つの考え方です。しかし、比例を削減すれば小選挙区だけだとあまりにも死票が増えるため、比例枠で死票を補完するという前提が崩れるわけで、これはかなりの議論を要するでしょう。今回の総選挙でも、「民主:自民」の得票率は、48:37。それで308議席:119議席(小選挙区は221議席:64議席 比例は87議席:55議席)ですから、これで比例を減らしたら死票の割合はグンと増えるわけです。また公明党、共産党、社民党等は議席確保が相当厳しくなり、より与党第一党に優位になるシステムになるとも言えます。
最後に「企業団体献金の禁止」についてですが、そもそもこの提言の根底には企業団体献金=しがらみ=悪、個人献金=クリーン=善というレッテル貼りがあるように思われます。確かに企業団体献金スキャンダル等で、そうした悪しき例が多くあったことも事実です。しかし、だからといってそれらをすべて禁止するということは、自民党にとっては企業、民主党にとっては組合という、現在の政治献金の基盤を揺るがすこととなり、たとえそれが正義であったとしても、個人献金の国民的理解と具体的促進策が同時並行、あるいは先行して実績を作っていかなければ政治家は政党助成金(=税金=公的資金)のみが政治活動の頼りとなり、それは同時に政党の財布を握っている政党幹事長の権限が益々強化されるということに他なりません。
また、単にネット献金の促進と謳っても、一朝一夕にネット献金が増えるわけがありません。ここはしっかりと議論すべき問題です。少なくとも諸外国の例をとっても、企業団体献金=悪というレッテル貼りはあまりにも日本的過ぎます。大口の個人献金者が悪いしがらみになることももちろんよくあるわけですから。
しかし、こうした当り前の公選法、政治資金規正法改正の提言・提案が民主党から出て、自民党から出てこないということも寂しい限りです。公明党、共産党、社民党も安保、外交同様に、この問題について、真摯に検討してほしいと思います。場合によっては党の存続にも繋がる一大事だと私は思うのです。
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